第4章 *××な彼とデートしたら*〜黒子、高尾、笠松〜
…それから三十分以上は経っただろう。
でも私には、もう二時間くらい過ぎているように感じた。
1人になるだけでこんなに不安になるのは、私だけなのかもしれない。
だけど、怖くて、不安で、私はもう泣きそうになっていた。
「黒子くん…。」
もう帰ったかもしれない。
どこにいるかも分からない。
そんな状態で待ち続けるのは、あまりにも辛くて。
「早く来てよ…っ!」
涙が一粒零れる。
…その、少し前に。
「はぁ…はぁ…ここにいましたか…。」
息を切らした黒子くんが、私の事を抱き締めてくれた。
…不安によって流れるはずだった涙は、安心の涙と変わって落ちていった。
「本当はすぐ近くにいたんですが、見失ってしまって…。地図を探していたら、遅くなりました。」
「っ…遅い、よぉ…!」
「すいません…。」
「でも…
ありがとう、来てくれて…。」
その言葉と共に、私は泣きながら笑った。
黒子くんも、微笑んでいた気がする。
「それじゃあ、続きをしましょうか。」
「うん。…でも、今度はデパートはやめよっか。」
そうですね、と申し訳なさそうにする黒子くんに、私は、誰にも気付かれないように唇を重ねた。
*影が薄い彼とデートしたら*
すぐに見失ってしまうけど、
最後にはちゃんと、
見つけてくれるんだよね。