第4章 *××な彼とデートしたら*〜黒子、高尾、笠松〜
「黒子くんっ!」
「は…はい、何ですか…?」
ザワザワという音が絶えないこの場所は、デパート。
今日は部活もお休みという事で、彼氏の黒子くんとここに来たんだけど…。
「大丈夫!?何かすごい顔色悪いけど…」
「すいません…。こういう場所は慣れてなくて…。」
人波に流されてしまいそうなその姿を見失わないようにしつつ、休める場所を探す。
「あ、あそこにベンチあるよ!ちょっと休…っていない!?」
見失わないようにしてたはずなのに、目を離したその一瞬に、黒子くんは消えていた。
彼特有の影の薄さのせいかとも思ったけど、いくら名前を呼んでも返事はない。
「はぁ…困ったなぁ。」
とにかく、黒子くんを探して歩いていたらすれ違いになる可能性が高いし、黒子くんはこのベンチを見つけたら真っ先に来るだろう。
お互いが動くよりもそっちの方がいいと判断し、私は一人ベンチに座った。
電話を掛けてみるけど、この人混みの中では気付かないのか、応答はない。
「やっぱり来るべきじゃなかったかなぁ…」
元々ここに来る事を提案したのは黒子くんだった。
前にも同じように黒子くんが迷ってしまい何も出来なかったので、今度こそは、というのが理由らしい。
でも、私はそれに賛成した事を早くも後悔していた。