第25章 *Happy Birthday 10/2*〜小堀浩志〜
俺の言う「彼女」に出会ったのは、俺が高校一年の頃。
その時は、外は予報通りの雨だった。
降水確率が100%と予報されてたので、さすがに傘を忘れる人はごく僅かだった。
ただ、ごく僅かでもいないわけではない。
「…昼休み、教室に置いておけばよかった…。」
そのうちの誰かに、傘を持って行かれたんだと思う。
俺の傘は、傘立てにはなかった。
俺のは普通のビニール傘だったし、持ってきてない人が「自分のだ」と勘違いして持って行ったんだろう。
「…どうするかな。」
生憎外は土砂降り。
しかもこれはしばらく降りそうだ。
最近はこういう事故が頻繁に起きてるらしいから、傘立てに置いた傘は昼休みに教室に持ってくるように言われてたけど、すっかり忘れていた。
部活後だから、ほとんどの人はもう帰っているし、残りはまだ部活中なんだろう。
教室に忘れ物を取りに行ったから、俺以外の部員は皆帰ってしまった。
もう、濡れる以外の選択肢はないのかもしれない。
しばらく、何をするでもなく外を見つめる。
…そんな時だった。
後ろから声をかけられたのは。