第25章 *Happy Birthday 10/2*〜小堀浩志〜
小堀side
「小堀君、好き。」
その言葉を聞いたのも、
「もっと近づいていい?」
そう甘えてくれたのも、
「じゃあ、またね。」
そう言って背を向ける彼女を見たのも、もう一ヶ月程前が最後だった。
会おうと思えば会えるけど、なかなか言い出しづらい。
…夕焼けを背に、少し悲しそうに微笑んだあの人は、今何をしているんだろうか。
一ヶ月前以来、結局一度も会っていない。
そろそろ俺も会いたくて会いたくて、仕方なくなってきたくらいだ。
だから、今度いつ会えるか聞いてみたいのだけど…。
「…なあ小堀、スマホ画面見ながら必死に悩むお前って、今まで三年間一緒に部活やってきた中で、初めて見たんだけど。」
「今までは、内容に悩むメールなんてほとんど送ったことないからな…。」
俺の姿を、珍しいものを見るように見ながら話しかけてきたのは、森山だった。
やはり誰から見てもこの光景は物珍しいものらしく、笠松達も気になっているようだ。
せっかくならと思い、誰か特定の人ではなく、俺に意識を向けている人全員に言ってみた。
「…年上の彼女に会いたい時は、どうメールすればいい?」