第21章 *りんご飴*〜森山由孝〜
そして、待ちに待った、お祭り当日。
「お待たせしてすいません!浴衣着るのに、時間かかっちゃって…!」
「大丈夫だよ、全然。っつか、可愛い!」
…何か、前よりテンション高い?
お祭りのせいかな。
何にしたって、可愛いって言われてドキドキするのに変わりはなかった。
「最初、どこ行きたい?」
「え?えと…ど、どこでも…。」
「せっかくなんだから、香奈ちゃんが決めてよ。」
そういえば、誘ったはいいけど、どこに行くかなんて考えてなかった。
どうしようかな…。
「じゃあ、りんご飴…とか、どうですか?」
「お、いいね。夏祭りっぽい。」
にこりと笑った森山君の笑顔にほっとして、私も微笑みを返す。
けど、突然繋がれた手に、私はまた表情を硬くした。
「も、森山君、手…っ」
「もしかして、手繋ぐの初めて?俺も。」
その言葉に、恥ずかしくなる反面、森山君も初めてなんだって思うと嬉しくなって。
森山君の隣に並ぶのは恥ずかしくて、少し後ろを歩いた。
森山君の耳が赤かったのは、多分見間違いだ。