第20章 *Happy Birthday 8/31*〜青峰大輝〜
「大輝、
…誕生日、おめでと。」
…あ、そういえば、今日誕生日だったっけ。
そっか、31日だもんな。
ずっと告白のことしか頭になかったから、全然…。
何だ、ただ俺だけが浮かれてただけじゃねーかよ…。
「…ありがとな。」
「昼休み来れなかったのは、ケーキ作ってたからなんだ。はい、これ。ちょっと形悪いかもだけど。」
これ以上ここにいないでくれ。
もう、苦しくてどうしたらいいかわかんねぇんだよ…。
そんなことも言えないのは、結局、遠野といたいというのも事実だからなんだ。
「…すげー上手いじゃん。」
「本当?ありがと。食べよっか。」
「いたただきます」という遠野に続いて、俺も同じことを言う。
イチゴの乗ったショートケーキだった。
すげー美味しくて、俺のために作ったんだと思うと嬉しくて…
その優しさに、同時に苦しくなって。
「大輝?どうしたの、具合悪い?もしかして、このケーキヤバかった…?」
「…別に。」
「大輝、ちゃんとこっち向いて。無理しないでよ。ねぇ、大輝…っ!」
俺の顔に驚いたように、遠野の瞳は揺らいでいた。
俺はその目に映る、涙を流した自分を見つめていた。