第20章 *Happy Birthday 8/31*〜青峰大輝〜
「腹減った…疲れた…死ぬ…」
今の俺を見てる人がいるなら、間違いなく、幻覚だと自分に言い聞かせて帰るだろう。
目は死んだ魚のようだし、さっきからブツブツと不満を呟いてるし、他は脱力してて、ピクリともしない。
最早瀕死状態だ。
「良…覚悟しとけよ…弁当持っていきながって…。まずさつきが…今吉さんに言おうとするから…。」
自分で言っといて呪いみたいだ、なんて考えてしまう。
つまり、これで被害者は三人か…ははっ。
『キーンコーンカーンコーン…』
と、そんな俺の耳にチャイムの音が聞こえて、今までのが嘘だったように、パッと起き上がる。
今日は五時間授業だから、これで最後の授業が終わったことになる。
つまり…
「もう少しで、遠野が来る…っ!」
嬉しさが込み上げてきて、俺は一人ガッツポーズをした。
早く会いたくて、うずうずしてしまう。
「遠野…。」
『ガチャッ』
俺がそう呟いたのと同時に、屋上のドアが開く音が聞こえた。
遠野かと思い、ドキッとする。
「大輝、上?」
ああ、やっぱり。
期待通りだ。
「おう。」
「ん、お待たせ。」
遠野はいつも通りなのに、俺だけがそわそわしてしまう。
そんな俺に不思議そうに首を傾げながらも、遠野は特に聞いてくることもなかった。
「あ、それで、用なんだけどね。」
「っ!あ、ああ…」
沈黙の中で、ドキドキという音が妙に大きく聞こえる。
遠野に聞こえそうで不安になったけど、そんなはずもなく、何事もないように遠野は続けた。