第20章 *Happy Birthday 8/31*〜青峰大輝〜
「大輝、どうして…。」
「どうしては、こっちのセリフだよ…っ。何で、だよ…。俺、すげードキドキして、期待してたのに…!」
遠野の手を引っ張って自分の方に引き寄せると、抱きしめながら、俺は耳元で言った。
「…俺、遠野のこと好きなのに。」
「…え?」
好きって気持ちが溢れて、どうしようもなくて。
悪い、でも、自分でも止められねーんだ。
「遠野、好き…。お前は俺のこと、好きじゃねーの?」
「あ、の…えと…。」
こんなに慌ててる遠野を見たのは、初めてかもしれない。
できれば俺が助けてやりたいけど、そうさせてるのは俺なんだよな…。
「悪い、俺…」
「大輝。」
名前を呼ばれて、逸らした視線をまた遠野の方に向ける。
遠野は深呼吸した後、俺に近づいてきて…。
「…ん」
どちらのものかわからないけど、小さく声が漏れる。
…俺は、遠野に、いきなりキスされたみたいだった。
唇が離れた後、その意味を理解した俺は、顔を真っ赤にさせた。
「なっ、な、な、なんで…」
「なんでって…だってさ」
そこまで言って、遠野は、初めて笑顔を見せた。
それはすごく優しい表情で、でもどこか恥ずかしそうな顔だった。
「私だって、大輝のこと好きなんだよ?」
そう言って涙を拭ってくれるのが嬉しくて、俺も、遠野に笑顔を返した。
*Happy Birthday 8/31*
好きだから照れるし、
好きだから泣く時もあるし、
好きだから笑顔になれるんだ。