第1章 Episode:1
快晴のもと、いつものように訓練している声や剣が交わる音、立体機動装置のアンカーやガスの音などが響く調査兵団兵舎。
窓からは高く登った日が差し込んでいて、部屋を優しく照らしてくれる。
『一通り執務は終わりかね…。』
ウォール・マリアが破られてから早5年
あと数週間すれば新兵も入ってくるだろう。
そのため今の時期、かなり忙しい。
書類は増える、追い込み訓練は増える、多少ながらも担当変更、または班改正もあるだろう。
リヴァイは頭より巨人を削ぐのが秀でているから今は訓練に出ている。
私にリヴァイ分の執務を押し付けて。
『後でアイツに絶対訓練付き合わせる…。』
沸々と少なからずとも怒りが溢れ出てくる。
私とリヴァイは同期。
つまりだいたい15年ほど一緒だろうか。
あれだ、腐れ縁というやつだ。
かれこれリヴァイとは仕事以外でプライベートでも会うし、よく飲み会や王都に出向く時も一緒に行った。
『そういえばもうそろそろで訓練終了かな、帰って来るまでに〆る方法しっかりと反応した考えておかないと…。』
どんなふうに〆てやろうか、まずは四の字固めだな。顔面平手打ちでもしてやるか…。なんて考えていたら、唐突に目の前のドアが開かれた。
「戻ったz」
すかさず宣言通り四の字固めから入る。
痛くない程度に頬に平手打ちをしまくり、挙句の果てには決め技までやってしまった
「いっっっっっっっってぇな、なにすんだ急に(イラ」
『戻ってきやがったな。執務はすべて終わらせた。訓練付き合え。拒否権はない。一個もない。』
「この後会議が」
『やめだ。訓練優先。』
「お前が言ってること地味にヤベェからな」
『知るか。兵士長の特権だ、訓練付き合え。』
ともはやゴリ押しで訓練を確定させようとする。
こいつが私に執務を押し付けなかったらこんなこと言ってないし!といいたかったが、リヴァイの立場も十分理解している。
だから執務を請け負ったのだ。
最悪の場合ムカついて書類をビリビリに引き裂いていたかもしれない。エルヴィンに怒られることなんてそっちのけで。
『せっかく待ってたんだ。付き合え。』
「今回の会議で新兵の所属先とか決めねぇと…」
『新兵が入ってきた夜にすればいいだろう?
なぜ入ってくる人数も分からないのに決めるんだ。エルヴィンは馬鹿なのか?』
