第2章 避難生活
わたし達はハンネスに連れられ、船へと乗せられた。
エレンとミカサは、まるで魂が抜けたように放心状態で座り込んでいる。
そんな中、わたしは船の中を歩き回り、必死に両親を探していた。
「お母さん……お父さん……どこにいるの……」
ポツリと声が漏れる。
いくら船の中を探しても、二人の姿は見つからない。この船に乗っていないということは――。
嫌な考えが頭をよぎる。
「サクラ!!」
名前を呼ばれて振り向くと、声の主はアルミンだった。
「アルミン!無事だったんだ!私のお母さんとお父さん見てない?」
アルミンは以前、わたしの家に遊びに来たことがあった。二人の顔を覚えているはずだ。期待する気持ちが芽生える。
しかし、アルミンの表情は曇り、口ごもりながら答えた。
「ごめん……見かけてない……」
その言葉を聞いた瞬間、胸の中に僅かに生まれた希望は崩れ落ちた。
「そっか……わかった……」
声が震えるのを抑えるように、なんとか答える。
「でも、一つ前の船に先に乗ってる可能性もあるよ! ついたら一緒に探しに行こう?」
「うん……ありがとう。一旦、私エレンとミカサのところに戻るね。」
「わかった。またあとで。」
アルミンに別れを告げ、エレンとミカサの元へ戻る。
二人は体育座りをして、視線を地面に落としたまま、何も話さない。
わたしはその横に腰を下ろし、同じように体育座りをする。
落ち着かない心のまま、船の外に広がる景色をただじっと眺めていた。