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美しき銀の刃

第11章 偽りの表情


辰馬とは軽い世間話をしながら歩いていた。

すると、いつのまにか門まで来ていたのだ。

辰馬が屋根にのぼろうと誘ってきたので、私はのぼることにした。

のぼって、屋根の上で寝転がって空をみる。

暗い空に散りばめられたように転がっている星たち。

とてもとてもきれいだ。

「…綺麗ね。」
「…綺麗じゃな。」

私が言ったあとに、辰馬も続けてそう言った。

辰馬はそのまま口を開いた。

「じゃが、あそこから天人たちがきてるけえ、わしゃああんまし夜空は好きになれんのう。」
「まあ…ね……。」

そういわれてみれば確かにそうだ。

あんな綺麗なところから、ああいうやつらがきているのか。なんなのだろうか。

「それに」

またつけたしをしようとしたので、黙って聞いた。

「……夜空より綺麗なものが、隣にはあるけえの。」

…隣?

「ああ。確かにね。もうすぐ夏も終わりって感じがするわ、この虫の声。」

さっきから、リンリンリンと何かの虫が鳴いている。

それもこの場所にはぴったりで、とても落ち着く。

「それじゃなか!…ま、ええか。」

それではないなら、一体なんだというのだろうか。

「…なあ、緑はん。」
「何?」
「わしゃあ決めたぜよ。」

何か気になったので、私は起き上がって辰馬のほうを向いた。

「わしゃあ……宇宙に行く。」
「……へー………………え、ええええええ??!」

どこに行くかをよくよく考えてみて、思わず大声をだしてしまった。

え?宇宙?宇宙~~~?!!

「…わしは、仲間を犠牲にしてまで、この戦争に参加したくなか。」

私は、言葉がでそうなのをひっこめた。

「わしは、こんなもののために、戦争にでたんじゃなか。」

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