第11章 偽りの表情
しかし、旦那と姉さんはいつからの付き合いなんだろう。
見た限り、高杉や桂にも普通に接しているし、坂本さんとは本当に仲がいいみたいだ。
「あ~、なんか部屋で閉じこもってるのはいやでい!」
「じゃあ、外にでませんか?ちょうど今日は星が綺麗なんですよ!」
新八君が誘ってきた。
「星アルか!私見てみたいアル!」
「そんなの、ここの障子開ければいい話だろい。」
「外で見る星も、格別ですよ!」
まあ、そうだな…。
「仕方ねえな。じゃ、ちょっと外行くか。」
俺達は障子のほうから外に出た。
――――――――
「わあ!!星が綺麗アルううう!!」
チャイナがはしゃいでいる。
「綺麗だね!かぶき町じゃなかなか見れないから、珍しいよ!」
たしかに、江戸ではあまり星は見えねえな。
武州は毎日こんな感じだったが。
「写真があればよかったネ。あー、残念アル。」
「そうだね。」
あの二人、これではしゃぐなんざ、まだまだガキだな。
ふと、門の屋根を見てみた。
何か二つの塊が見える。
「……?誰だい?あれ…。」
「え?」
新八君も同じ方向をみた。
一人は、茶色いもじゃもじゃ。もう一人は、星の光でさらに綺麗になっている、黄緑色の髪だ。
「あれ…坂本さんと、緑さんですね…。」
「ほんとアル!!」
俺達はなんとなく近くに行ってみた。
少しずつ話し声が聞こえる。
「―――――――ね。」
「――――――じゃな。」
俺達は聞き耳を立てることにした。
~緑SIDE~
少し泣き止んだ私を連れて、辰馬は散歩しようといいだした。
私も気晴らしにはいいかなと思い、素直にそれをうけいれた。
外は、少し涼しかった。