第11章 偽りの表情
「つまり、緑さんが自分で望んでいる…そういうことですか?」
「ああ。俺達も、何回ももうやめとけって言ってんだがな。あいつ、どうも本陣で家事しながら待つのがそもそもいやらしくて、それプラス男女だろ?ったく、あいつは自分が女だっていう自覚をもてほしいもんだぜ…。」
なんだ。旦那達、なんだかんだ言って、姉さんが心配なのかい。
「…でも、無理もほどほどにしないといけないネ。マミー言ってたヨ。女の子は触るとすぐ壊れるくらいもろいから、大事に扱わないと壊れるって馬鹿アニキに。」
……アニキ?
「ほーん。天人でもそういうこと言うんだねえ。」
「それくらい普通アル!!……って、え…?」
旦那はニヤッと笑った。
いつものあの笑い方だ。
…ていうか、今旦那チャイナのこと天人って…。
「他の奴らは騙せても、俺は騙せねえよ?お前、天人だろ。」
チャイナの顔をのぞきこんでいる。
「……銀さん、あんた、何するつもりですか?」
「あ?質問に答えろよ。」
チャイナはしぶしぶ口を開けた。
「…天人アル。」
「やっぱりな。」
そういうと、旦那はあぐらになった。
「…私、追い出されるアルか…?」
「あ?何の話?」
………え?
「私、天人だから…だから「別に。」
旦那がかぶせてきた。
「別に天人だからって何もしねえけど?お前、そんな歳で、しかも女なのに、よく生き残れんなって思ってただけだよ。」
…チャイナは今にも泣きそうだ。
「でも銀さん達、天人を追い出すために攘夷戦争してるのに…。」
新八君はうつむいた。
「…違うね。俺達はそんなもののために剣をとったんじゃねえ。」
そういうと立ち上がった。
「……先生を救うために、奪還するためにここにいるんだよ、俺達は。はっきりいって、幕府とか、天人とか、国とかどうでもいいんだよな。」
そういうと、にこっと笑った。
その後、少し会話をしたあと、飯ができたそうなので、みんなで食堂へ行った。