第11章 偽りの表情
~銀時SIDE~
俺は少しの間、辰馬の部屋の障子にもたれかかってた。
本当はふすまのほうに行きたかったんだが、あのガキ共がそこにいるから、無理だ。
いつもなら、緑は俺やガキの存在も気づくはずだ。
それに…。
俺は立って、障子を開けた。
緑は少しビクッとした。
緑の目の周りが、少し赤かった。
「…銀時…。」
「よお、そいつの具合はどうだ?」
そう言ってわざと緑の隣に座る。
「あ、うん。顔色はよくなった。」
「そうか。」
そういうと、少し辰馬の顔を見る。…やっぱりこいつ…。
「あ、そうだ緑。」
「ん?」
「飯、まだか?」
その言葉に今更思い出したのか、「あ」と言った。
「お前よ…、戦が終わったところだぜ?みんな腹ペコだしよお。」
「わあ!ご、ごめん!すっかり忘れてた!」
そういうと立ち上がって部屋をでていこうとしたとき、立ち止まった。
「あ、辰馬、お願いね。」
「おう。」
そういうと、障子のほうから出て行った。
「…おい、タヌキ寝入りをやめろ。」
おれは寝ているふりをしていた辰馬に一発げんこつをした。
「い…たくない。わしは寝とるきに。」
「いや、それ言ってる時点で寝てねえだろ。」
そういうと、ふすまのほうに顔を向けた。
「おい、ガキ共。お前らも出てこい。」
すると、しぶしぶ三人が出てきた。
「辰馬起きろ。お前ら全員正座だ。」
四人は素直に正座した。
「…んで?辰馬。お前なんでタヌキ寝入りなんかしてたんだよ。」
それを聞くが、辰馬は黙ったままだ。
「答えろよ。」
「……緑はんになんて顔して起きればいいんじゃ。タイミング失っとったわ。」
そう言って、あぐらをかいた。
「そんなのぱちっって目え覚まして、「起きました~」とでも言っとけばいいんだよ。」
「………緑はんが泣いとったんじゃ。」
あー、やっぱりな。
「まあ、だろうとは思ってたけどよ。」