第10章 五神の素顔
「まったく、銀時は何を考えているのかわからん!」
桂は頭をくしゃっとかいた。
「あいつは普段あんなことは言わない。だから多分、俺達よりも相当ピリピリしてたんだろう。でも、それなら俺達に何か相談くらいしてくれたっていいじゃないか…。」
顔をゆがめた。
確かに、旦那もあんまり誰かを頼ろうとしない。
…そういえば姉さんは…?
「…あの、桂…さん…。姉…緑さんはどこでい?」
「あ、ああ、緑か。緑なら多分…「辰馬の看病してるだろうから、辰馬の部屋だ。」
桂の声にかぶせて言ってきたのはやはり高杉だった。
「今俺が言おうとしたんだが。」
「しるか。答えるのが遅えんだよ。」
「遅くなかった!あれは普通だった!絶対普通だった!」
「うるせえよ!ヅラ!」
「ヅラじゃない、桂だ!」
相変わらずのケンカっぷりだな…。
これが現在本当に斬りあいするくらいの仲なのだろうか。
はたから見れば、この二人はとても仲がいい気がした。
「じゃあ、緑さんは坂本さんのところにいるんですね?」
呆れ顔+ため息がかかったような言い方で、新八君は聞く。
「「ああ」」
あ、はもった。
「じゃあ、もじゃ見に行くアル!」
「神楽ちゃん、もじゃはないよ、もじゃは。」
「じゃあもっさん!」
「誰でもいいだろい。ほら行くぜい。」
俺達は桂達に一礼すると、坂本さんの部屋のほうへ行った。
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着いて、中に入ろうとした。
でも、なかなか中に入ることはできない。
雰囲気が、入ってはいけないと語っていたからだ。
新八君とチャイナも、なんとなくふすまの影に隠れて、隙間からのぞいている。
…姉さんは何してるんだろうか。