第10章 五神の素顔
「?なんだ、新八。」
「い、いや…。銀さんって、吉田っていうんですか?」
その言葉に、桂は首をかしげた。
「あ?ああ、銀時は『吉田銀時』だ。それがどうかしたのか?」
「い、いえ…。」
現在の旦那は『坂田』だ。
どうして今と苗字が違うのだろう。
「…続けろ。」
高杉はなんだか不機嫌だ。けっ!
「うむ。一番隊、総員116名。げんざい107名。死者9名だ。」
へ~、結構一番隊は死者が少ないんだな…。
「…鬼兵隊、総員164名、現在143名、死者21名だ。」
「今回、被害が多かったのは…。」
そういいかけて、桂は少しつらそうな顔をした。
そうだ、今回もっとも被害が多かったのは…。
「何言いかけて黙ってんだよ。快援隊、だろ?」
あ~あ、旦那。言っちまいやがった。
全員しーんとなった。
「…馬鹿ですか?コノヤロー。ちゃんとやつらのことも言ってやらねーとだめだろ。快援隊、総員186名。現在1名、外部1名。死者、184名。」
旦那は鼻くそをほじくりながらそう言った。
「銀時!こんなときになぜ鼻くそなどがほじれるんだ!」
「いや、もうすぐですげえのが出そうだったの。出すしかねえじゃん、ほるしかねえじゃん。ほら、お宝見つけたらほるだろ?」
「今はそんな場合じゃないといいたいんだ!!」
すると、旦那は立ち上がって、部屋をでていこうとした。
「おい、銀時「うるせーよ。」
振り向くと、紅い瞳がいつもより鋭く光っていた。
「…どうでもイイんだよ、んなこたあ。」
全員がごくりとなった。
「そうやって、死んだやつらに嘆いてどうすんの?嘆いたからって、かえってくんの?そいつらは。」