第10章 五神の素顔
~緑SIDE~
なにもかもがめんどくさくなってきていた。
私はなんのためにこの戦にでていたのだろうか。
…そうだ。忘れるところだった。
私は、私達は、元はといえばあの人を奪還するため…。
あの人を助けるために刀をとった。
それがいつの間にか、知らない間に仲間達のためになっていた。
でも、今日は…今日は…。
その仲間達は、私を護らんがために戦って、命をおとした。
「…なん…で…。」
防具を見る。汚い。
刀を見る。汚い。
手を見てみる。汚い。
私はとても汚く見えて、情けなくて、自分を恨んだ。
「…川で洗おう…。」
本陣の中には、小さいけれど小川のような小さい川が流れている。
そこで洗濯などをしている。
私はそこにつくと、とりあえず来ていた防具品だけを取り外す。
そして、防具を小川につけた。
雨のせいなのか、はたまた天人や仲間達の血のせいなのか、それはわからないが、つい先ほどまで綺麗だった小川の水が一気に汚く、濁っていった。
赤色も少しだけみえた。
「……ごめんね…、せっかくの綺麗な小川を汚しちゃって…。」
誰に謝ってるんだろう。やっぱ私、おかしいな。
洗った防具を、地面におくと、今度は自分の手を小川につけた。
冷たい。
冷たいなあ。
でも、少し暖かい気もする。
私は手をだした。
…………汚れてる。
まだ、まだ汚れてる…。
私はもう一度小川に手つけた。
そして、ごしごし洗った。
もう一度手をだしてみる。
今度は赤色が付いている。
「…いや…………。」
私は小川に手をつけた。
何度も何度もこすっては手をだし、こすっては手をだした。
もう、とれててもいいはずなのに。
なんでとれないの?
「……なんで…なんで汚いの…。」
手はどんどん真っ赤になっていく気がした。
「とれて…お願い…とれて…。」
こんな…こんな汚い手…。
「汚い…汚い汚い汚いきたないきたないキタナイ…。」
コンナテ!!!!!!
私はもう一度小川に手を付けようとした。
誰かの手が、暖かさが伝わる。
「…え…?」
「お前の手は、汚くなんかねえ。」