第9章 悲しき彼女の悪夢
~緑SIDE~
「ごめんなさい、さようなら。」
そう言って、最後の天人にとどめをさした。
天人は少し不気味な笑みを浮かべて倒れた。
これで快援隊は…。
そう思って周りを見た。
そこで見た。
私と時忠以外、誰も立っていなかった。
奥のほうでは辰馬がまだ戦っている。
私は恐る恐る足元を見た。
「…みん…な…?」
足元には、今日の道場で楽しく稽古していた仲間達。
そして天人。
誰も、もう誰もいない。
「うそ…うそよ…。」
快援隊がこんなに弱いはずがない。
全滅なんて、するはずない!!
声にならない叫び声がこだました気がした。
周りのことも、もう見れなくなっている。
周りが真っ暗になった。
後ろらへんで、砂利の音がした。
それでも私は動かない。動けない。
刀の音も聞こえた。動かない。
風を斬る音がした。動けない。
このまま斬られたほうがましだと思った。
この世を生きたくなんて、なかった。
なのに…。
静かに目をつぶると同時に何か斬れた音がした。
そして、何かが床に倒れる音もした。
刀が落ちた音もした。
私は……………………………
私……………
目を開けるとそこは戦場。
痛みを感じなかった。
後ろを振り向いたときに見たもの。
まだ、体が動かない。