第9章 悲しき彼女の悪夢
「まあいい。お前らは前線にくるな。そもそも初めてなのに、前線に行かせた俺が悪いんだ。まあ、特攻隊の後ろあたりにいてくれたらそれでいい。異論はあるか?」
ない。前線にいては邪魔だと言いたいんだろう、こいつは。
「ありま…せん。」
「じゃあ、気を付けていけよ!」
そして、俺達は見てしまうことになる。
姉さんが、もっとも恐れているものを。
姉さんの泣き顔を。
―――――――
どこくらいまでさがっただろうか。
特攻隊の服を着た隊士たちが、少しいるくらいの場所だ。
後ろは快援隊の隊士達、それから姉さんと坂本さんがいる。
「ここらへんは、あっちに比べて、天人が少ないですね。」
「余裕すぎでい。」
そういいながら、少ない少人数を一気にかたしてしまう。
「…なんか変アル。」
「あ?」
チャイナが口を開いた。
「…新八の言うとおり、天人が少なすぎアル。おかしいアル、もう少しいてもおかしくないはずだヨ。」
……まあ、確かにそうなんだが。
ここに天人が集中していないのは、特攻隊のおかげだと思うが、それにしては少なすぎだ。
何かあったのか。
「私、みーちゃんが心配だから、見てくるヨロシ!」
「ちょ、待って、神楽ちゃん!僕も行くよ!」
「あ、じゃあ俺も~。」
って具合に軽くすんなり快援隊の陣地まできた。
そして、唖然としていた。
「ふぅ…やっ!!!」
次々と華麗に天人を斬っていく。まるで踊っているかのように。
そして斬ってしまった相手にこういうのだ。
「ごめんなさい。」と。
天人達はいやらしい顔をしながら、姉さんに向かってくる。
そして斬られたら斬られたで、満面の笑みなのだ。
「…なんのプレイですか、これは。」
「みーちゃん、綺麗アル。」
プレイっていうか、天人が単に喜んでるだけだろい。
姉さんはそんな人じゃねえ!
「もじゃもなかなか…というより、こっちのもじゃのほうがかっこいいアル。」
「だね。」
もじゃ?坂本さんのことだろうか。
あの人はものすごい速さで斬っている。
どうやらジャンプしながら斬るのが得意らしい。
あと…回転斬り?
姉さんのほうに目を戻すと、近くには快援隊の副隊長が。
どうやら、姉さんを護っているつもりらしい。
「副隊長、やけにみーちゃんと近いアルな。」
「そうだ…ね。」
姉さんは最後のとどめをした