第8章 意外な男
着くと、そこにはすでに数々の男どもが並んでいた。
防具をまとって、竹刀を構えている。
「…すごい男臭がするアル。」
「大柄な方たちばっかりですね~。」
すると副隊長は笑いながらこういった。
「お前らが小さいんだよ!もう少しでかくなったら、あれくらい普通になるさ!」
「は、はあ…。」
そうしていると、姉さんが前に現れた。
姉さんが副隊長に目で合図を送る。
「皆の者!!稽古を始める!!」
『よろしくお願いします!!』
姉さんはとりあえず基本の型を教えている。
その姿は、現代では見れないかっこよさがあった。
「へえ!総悟、なかなかいいじゃない!あんた、素質があるよ!」
「ありがとうごぜーやす!!」
姉さんに褒められるのは本当にうれしい。
しかも、過去の何も知らないはずの姉さんにだ。
「新八も、磨けば光る原石ね。」
「あ、ありがとうございます!」
ふ~ん、まあ、確かにそうかもな。
「神楽は…、って、神楽?」
俺はチャイナのほうを向いた。
チャイナは竹刀を適当に振り回している。
当たったら、誰かがぶっ飛びそうだ。
「…神楽、違うわ、型がおかしい。」
え、そっちをいうんですかい?姉さん。
姉さんは、普通にチャイナの腕を持った。あのものすごい早い素振りを普通に。
「こうよ、こう。」
綺麗な素振りを教えると、チャイナはそれが板についたのか、ずっとそのフォームで素振りをしている。
「神楽ちゃん、なかなかいいね!」
さっきの副隊長がやってきた。
「あ、副隊長。」
「みんな刀の心得があるのかい?そんなに幼いのにかなりうまいじゃないか。」
すると、新八君が答えた。
「ああ、僕の家、道場なんですよ。小さい時から竹刀振って練習してて…。」
「私はないアル。基本素手ネ。今日初めてこの棒触ったアル。」
「へえ~、みんなすごいね!」
これは俺も言うべきだったんだろが、聞かれなかったんで、何も言わなかった。
「さあさあ!誰か私と一手したい人はいない?」
その言葉で、道場中の男たちはみんなシーンとした。
「…何よ、私の稽古には付き合ってくれないの?」
すると、副隊長が口を開けた。
「いや、緑様、我々は緑様に勝ったことがございませんので…。」
姉さんは少しすね始めた。
俺は恐る恐る手を挙げた。
「俺、お相手しやす!!」