第7章 怪しく光る瞳
~沖田SIDE~
…姉さん……。
姉さんの後姿をぼんやり見つめた。
姉さんは本当に笑ってた。
綺麗に、優しく。
心の底から。
『みんなで仲良く暮らすんだ!』
…将来それはかなわない。
高杉や桂は攘夷浪士。テロリストだ。
坂本にいたってはあまりわからないが、近くにいないことは確かだろう。
「…とりあえず、僕達の部屋にでもいきましょうか。
」
新八君の言葉に賛成したのか、チャイナはそそくさ何も言わずに部屋に入った。
「……………………………。」
部屋にはいっても俺達は静かだった。
俺も姉さんのことばっかり考えていた。
しかし、その沈黙もなくなることになる。
「…緑さん、ほんと幸せそうだしたね。」
「……そうアルな。」
二人はそっちで落ち込んでいたのか。
「…俺はてっきりそのことじゃなくて旦那のこと思ってると思ったがな。」
「銀ちゃんに至っては、みーちゃんのことより重いアル。」
確かにそれは思う。
「銀さん…。行きたくないって、こういうことだったんですね…。」
新八君も余計に落ち込んでいる。
「…旦那が辛い顔をすることなんてないと思ってたぜい。」
「いっつも自分のことなんて何も言わないアル。ひどいネ!…でも、それはみーちゃんも同じヨ。」
姉さんは平気な顔をしていた。
でも、姉さんはいくら頑張ったって女性だ。
精神が崩れそうになるに決まってる。
旦那がそうなるんだったら、きっと姉さんも…。
「だあああああ!なんで姉さんは何にも話してくれないんでい!せめて俺にくらい言ってくれたって…。」
新八君も、チャイナも。
うつむいて何も言わなくなった。
姉さん、あんたは本当のところどうなんでい。
いつもうなされているみたいですけど…。
土方さんも言ってやしたぜ?
『うなされてる』って。
うなされるくらいの悲しい夢なんでしょう?
…そんな夢の中でも、何も言ってはくれやせんね。
まったく、あなたは困ったひとでい。
俺が…俺がその心の闇、暴いてみせやすよ。
覚悟しておいてくだせえ。
姉さん。