第7章 怪しく光る瞳
「銀時は怖いのよ。」
私は話し始めた。
あいつは…ものすごくさっき怖がってた。
銀時も一応隊はある。
ただ、必ずここに戻ってくるときは、銀時以外の隊員達は帰ってこない。
皆屍になってしまったから。
銀時は『特攻隊』の隊長。
特攻隊は一番最初に斬りあいを始める。
陣営も、最先端にいるのが特攻隊だ。
幾多の天人を斬り殺さなければ後ろにつかえている他の隊の奴らが狙われる。
だから銀時は必死で戦うんだけど…。
「気づいたらみんな死んじゃってるのよ。」
それはもう…。無残な屍ばっかり。
私だって気が狂いそうになるのに。
銀時はきっともっとひどいんじゃないかな?
「だから銀時は怖いのよ。まだ年端もいかない子供たちをそんな最先端の、しかも一番危険なところへ連れて行くことが。…何より、これ以上仲間を失うことがね。」
その最後の言葉は、私も一緒だ。
もう、これ以上は見たくないんだ。
もう…これ以上仲間が嘆く姿も、銀時の悲しい顔も。
「そう…だったんですか…。」
三人はどうやら少し落ち込んだらしい。
「…まあ、隊はおそらく銀時のとこになると思うから!だから…あんま死なないように努力してね。」
少し明るくふるまってはみるけど、私もこんな暗い話はきつい。
「は…はい!あの、なんかほんとすみません…。僕、悪い事聞いちゃったみたいで…。」
「ううん。悪い事ではないよ。そりゃあ、戦争の話になると、みんな悲しい顔するけど…。基本はあんな感じだからいいの!」
そう、いつだって笑顔が一番だ。
辛い、苦しい。そんな思いだって、なんとか今まで乗り越えてきたんだ。
「…みーちゃん達は強いアルな!」
神楽がにっこり笑う。
「…強くなんかないわよ。」
「へ?」
誰にも聞こえないように、小声で言った。
「ん?いや、なんでもない!!」
神楽は「そうアルか」と言って首をかしげる。
「…この戦争が終わったら、みんなで仲良く暮らすんだ!みんなで笑顔で…。だからそれまで私、がんばる!」
精いっぱいの笑顔で言った。
だってかなえたいもん。
「じゃあ、私、小太郎の部屋に戻るから!みんなは部屋に戻っててね!」
そういうと、廊下をかけだした。
三人が暗い顔になったのは、きっと気のせいだろう。