第4章 絆という名の光
―――――姉上が死んだ―――――
何かの支えを失ったようだった。
思えばガキの頃からずっと俺を世話してくれていて、自分が幸せになったことなんてなかった。
だから、今回の縁談も、姉上が幸せになってくれたらそれでいいと思っていた。
だが、実際は違った。
あの野郎は姉上の幸せを願った。
だから、姉上の幸せを奪った。
でも、姉上は幸せなんか感じずに亡くなった。
そんなことばっかり考えていた。
俺は相当元気がなかったのだろう。
近藤さんはおろか、あの土方まで俺を心配しはじめた。
土方は特に俺と同じくらい衝撃がはしっていたはずだ。
それなのに、だ。
ある日、俺は攘夷浪士をしょっぴいたあと、河原に寝転がった。
日が沈み始めている。
思えば、あの日から一人でいたことはなかったと、ぼーっとしていた。
すると、頭上で声がしたのだ。
「…総悟?」
上を向くと、そこには姉さんがいた。
「あれ…?万事屋の緑さん…?」
「どうしたの?こんなとこで。」
そういいながら、隣に座った。
「いや、ちょっと休憩してやしてね。」
「ああ、仕事終わったとこだったの?」
「へい。」
すると、同じようにして姉さんは寝転がった。
風がさわさわしている。
少し姉さんといるだけで、姉上といるような感覚に襲われた。
「…緑さん、聞きたいことがありやして。」
「ん?何?」
姉さんは上を見ながら聞き返した。
「…緑さんは、大事な人…、家族が死んだとき、悲しんだりしますかい?」
そう、馬鹿なことを聞いた。
姉さんに聞いても仕方のないことなのに。
「……少し、わかんないかな。」
そう、姉さんは答えた。
「わからない?」
「そう、あんまわかんない。けど、新八や神楽や、銀時が死んでしまったら、ものすごく悲しんでしまうよ。」
そう答えた。
「それ、わかってるってことじゃあないですかい。」
「いや、わかってないよ。」
そういって、座りなおした姉さんは俺のほうを向いてこういった。
「私、親も兄弟もいないから。顔すら知らないから、だからわかんないよ、ごめんね。」
…本当に馬鹿なことを聞いてしまったと思う。
「…なんか、すいやせんね。」
「ううん、いいの。」