第3章 己の中の魂
「じゃあ、なんなんですかい??」
俺は深く息を吐いたのち、総悟に聞いた。
「あいつの過去は一体なんだ?」
すると、総悟が少し俺を睨んだ。
「…何が言いたいんですかい、土方さん。」
「あいつ、寝言がひでーんだよ。」
総悟が睨むのをやめ、普通に聞いてくる。
「と、言うと?」
「寝ている間、『やめて』とか『助けて』とか。しまいには起きた瞬間『松陽先生!』って叫んだからな。」
「…そうだったんですかい…。」
総悟は少し何かを考えていたが、やがて
「俺は姉さんのこと、尊敬してやすし、旦那よりも好きですが、さすがにそういうのは聞いたことがありやせんしね。」
「……黄色い悪魔。」
それに総悟が反応する。
「…なんでそこで攘夷戦争の英雄が出てくるんですかい。」
思いたくはない。
あいつは真撰組でも結構評判がいい。
なんせ、万事屋と同じくらい強いし、あの美貌だ。
総悟も普通になついているくらいの、雰囲気がある。
だが…。
「あいつの髪、眼、そして強さ。しかも万事屋が『白夜叉』なら…あいつも元攘夷志士っていう可能性が…」
「だからなんなんですかい。」
総悟がやけに怒っている。
「だからどうしたっていうんでい。姉さんが元攘夷志士だったとしても、俺は今と変わらない態度でいやす。」
…まあ、それもそうなんだが。
「わかってるっつーの。ただ…。」
「なんですかい?」
「万事屋にも隠し事をするくらいだ。誰にも言ってねえ秘密くれえ、あるんじゃねえのか?」
その言葉を、総悟は無視して会議場にはいった。
~緑SIDE~
「おじさん!これも使っていい?」
私は食堂で料理をしていた。
「いいよ~。にしてもお嬢ちゃん、いいのかい?俺何にもじなくてよ~。」
「いいのいいの!私だけ食べるとか不公平でしょ?」
今は、真撰組のために料理を作っている。
今は朝の七時。朝ごはんまで、まだ一時間の余裕がある。
「じゃあ、つくりますかね~。」
私はわくわくしながらつくっていった。