第2章 時経てど
「ちょ…ちょっと待ってください!「ここにはいない」って、この世にはいないという意味だったんですか!?ていうか、段ボールの神様ってなんですか。あれですか、どぶ鼠以下の人間ってことですか。ってか、もう神様いたよねえ?!」
いつもなら、ここにこういう新八のつっこみがくるのだが、今日は私が代わりに行った。
「いや、あれはホームレスの神様な。段ボールの神様はあれだ、段ボールくばってくれるやつ。」
「それただの『段ボール配り係』!!そりゃあ長谷川さんも自殺したくなるわ~!」
私は橋の下から去ることにした。
まだ、頭痛はする。
ずっと我慢しているが、それはもう意識まで消そうとするくらいの痛み。
もうこのまま『万事屋銀ちゃん』に帰って、とっとと寝ようかな。
そこで私はその考えを否定する。
だめ、今日は絶対嫌だ。
何が何でもあいつにだけは会いたくない。
でも…。
私はもう足もフラフラな状態でいた。
雨もザーザー降っている。
今日、あんな夢を見たのは、こんなことになると予想してかな…?
大声あげたら、あいつがくんのかな…?
それはなおのこと嫌だ。私は唇をかみしめた。
――――屋根さえ見つかれば――――
屋根を必死に探すが、ここはかぶき町の田舎のほうなのだろう。あまり、家がない。
すると、前方から光が見えてきた。
私は一気に力が抜けてしまった。
あーあ…、もうこりゃ立てないわ。
私は路地に倒れこみ、意識を失った。
何か、赤い光が見えた気がした。