第20章 終わって始まる
「…ん。」
少し動かした右手に、銀時が気づいた。
私は、少ししゃべれそうだったので、銀時のほうに向いた。
「右手、動かせない。」
すると、銀時は、少し困ったように
「右手くらい、いいだろ別に…。」
「だめよ。だって……」
みんなのこと、抱きしめられないじゃない。
そういうと、咄嗟に神楽が私と銀時を引き裂いて、飛びついてきた。
「いっつ!」
すると、新八も飛び込んできた。
あーあ、私一応けが人なのに…。
でもなんでだろう、とっても暖かい気持ち。
そっか。これが、幸せ、なんだな。
総悟は微笑んでいる。
「…ったく、心配して損したぜ。あー、なんか、眠いなあ…。」
「あらら、心配させてごめんなさいね。」
「みーちゃんが謝ることないネ!!元々、銀ちゃんがみーちゃんのこと、怒ったのが悪いヨ!!」
「そうですよ!そのせいで、緑さん誘拐されるし、意識不明になるし…。あんた、反省してんですか?!」
そう言っている二人の顔は、怒っているはずなのに、爽やかだ。
「そうですぜ、旦那。姉さんをこんな目にあわせた仕返しは、俺がきっちりしやすから、覚悟しててくだせえ。」
総悟は…本気だ、これ。
「あーもー、うるせえなあチクショー。喧嘩両成敗だろーが。」
銀時が立ち上がる。
「あ、逃げる気ですか?!」
「へへっ、美人な看護婦さん呼んでくるわ。」
…銀時、足元ふらついてない?
こんなことを考えた瞬間
ガタンッ!!!
「銀ちゃん!!!」
「銀さん?!!」
案の定、銀時が倒れたみたいだ。
「え、ちょ、どーしたんですか銀さん!!!!」
「まさかわざとアルか?!そんな寒すぎるギャグも大概にするネ!!」
二人が呼びかけても、一言も声が聞こえない。
「旦那…。」
総悟が近づいたときだった。
「そっとしておいてやれ。」