第20章 終わって始まる
「そっとしておいてやれ。」
そう言って入ってくる、黒い服の集団。
声だけでも、誰かはわかった。
「近藤さん!」
「ゴリ!!」
近藤さんと、土方が病室に入ってきたみたいだ。
「そっとしておけって、倒れてんですよ?!この人!!」
「……ただの睡眠不足だろ。」
そう言って、土方は銀時を起き上がらせる。
それでも銀時は目が覚めない。
…寝息が代わりに返ってきた。
「睡眠不足って…、なんでアルか?!」
神楽はそういいつつ、銀時のそばを離れない。
「無理もねえさ。なんせ、緑殿につきっきりだったからな。寝てねえとは思ってたが…。」
近藤さんが、ニコニコしながら話した。
「つきっきりってことは…、もうずっと、ですかい?」
「ああ、少なくとも、俺達がこの病院に来てた時間は、ずっとここにいたみたいだが。」
え…うっそ………。
「反省…してないんじゃ、ないのかよ…、糞天パ。」
「しょうがないアル、銀ちゃんは照れ屋だからナ。」
微笑む新八と神楽。
「いやあ、ともあれ、目を覚ましてくれてよかった!!な?総悟!」
「え?あ、ああ……本当に、よかったです。」
少し、落ち込んだ表情の総悟。
「…どうしたの。」
「いえ……。…姉さん、本当に、すいやせんでした。」
頭を下げた総悟。
「え?!いや、なんで「俺が、油断してたから、姉さんがこんな目にあったんですよねい!!自分の身一つ護ることができねえなんざ…侍、失格でい。」
まだ、頭を下げたままの総悟。
「……総悟、大丈夫よ。謝らないで。」
私は少し微笑む。
「私は、総悟が生きてくれたことがうれしい。それにほら、私、死んでないでしょ?だからほら…、私が勝手にしたことで、そんなに悲しい顔、しないで。」
「うっ……、姉さあああん!!!」
少し涼しい風に吹かれた木々。
そして少しずつ、彩を見せる葉。
笑いあう声。
そんな町の中で生きていること。
家族に出会えたこと。
まだ、過去による傷は深いけれど。
それでも、歩いて行こう。
あの醜い、すさんだ心の私は終わった。
だから、ここにある絆でできた私が、始まれる。
秋風が、微笑みをつれて、また、舞い上がった。
銀の刃は、紅色から、美しい白へと、そして、黄色の光へと、変わっていった。
→あとがき