第20章 終わって始まる
~緑SIDE~
あれ…、ここ、どこだろう……。
真っ暗で、何も見えないや。
あはは、前にもこんなことあったなあ…。
少し、アルコールの匂いがする。
なんだろ、近づきたい。
でも、体中動かせない。
………ん?
なんで、口、動かないんだろう。
目も……。瞬きしてない。
あ…ここって……。
だんだんと、辺りが白くなっていく。
明るくなっていく視野に、ビックリしながら、近づいていく。
『緑………。』
ああ、そんな懐かしい声で、呼ぶのはやめてくださいな。
私はまだ、生きたいのです。
ここで。この場所で。
新しい、私の、居場所で。
だから…、先生。待っていてください。
私が、立派な人間になって、あなたのもとに行くまで。
視界が、ぼんやりとした。
少し、暗い天井。
手の感覚は、暖かい。
視界を、横に移してみる。
ああ、帰ってきたんだ、ここに。
長かった気がする。あの悪夢から、やっと、逃れれたんだ。
「!みーちゃん!!」
懐かしい、女の子の叫び声が聞こえてきた。
一斉に、男どもが私を見やる。
「み…どりさん!!」
「あ、あ、姉…さん…!!」
すぐに子供達が私のほうに駆けだしてきた。
「意識が戻ったんですね!!よかったあ…。」
「うえええ……!みーちゃんのばかあ!!!」
ポカポカ殴られてる気がする。
駄目だ、全然痛くない。
「姉さん。」
口が、あんまり動かない。
あー、みんなの名前を呼びたいのに。
反対側の手を、総悟の顔に、持って行った。
「っ…!」
少しだけ撫でてあげると、総悟もたちまち、涙目になる。
「よかっ……、よかった…!!」
少し、安心さしたところで。
さっきまで放置してたんだけど。
少しだけ、握られてる手を動かした。