第20章 終わって始まる
「んだよ、不法侵入してんじゃねえよ…。」
「ここはあたしの家だよ。文句があるなら出ていきな。」
チッと舌打ちをして、しぶしぶ布団から出る。
なんておせっかいなババアなんだ。
「で?何の用?」
布団の上であぐらをかき、ババアを見た。
「家賃。」
「またのご来店をお待ちしておりまーす。」
そういって逃げようとしたが、即刻捕まった。
「今日こそは家賃、いただくよ!!」
「えー!あと二カ月待ってくれるって言ったでしょ~?おばあ様~!」
「二週間だ!二週間って言った!!!」
プロレスに近い戦闘が始まる。
そのまま、仕方がないから店の手伝いをするということで家賃騒ぎは終わった。
・・・・・・・・・
「あ~~!くそだりい…、チクショー。」
今はゴミ捨てをさせられている。
ついでだから、たまったジャンプも全て捨てようとしたせいで、往復するはめになった。
「なんで俺がこんなこと…、ん?」
最後のゴミを捨て終え、一呼吸したところで、妙な雰囲気に気が付いた。
いや、普通の凡人は気づかないような、わずかな人の気配。
そして、生臭いにおい。
明らかに、いつも利用しているゴミ捨て場とは、何かが違っていた。
「…攘夷浪士か?」
ここらへんに潜伏でもしているのだろうか。それにしても、こんなゴミ捨て場、すぐにばれるというのに。
ガサッ。
音のするほうへ目を向ける。
そこには野良猫が、何かを見つめる様子で立っていた。
「……何かいるのか?」
静かに、木刀をつかみ、少しずつ近づいて行った。
そして、勢いよく袋をどかす。
そこにいたのは
やせこけた白い肌。
赤と白で染まった服。
少しくすんだ黄緑色の髪の毛。
まぎれもない、緑だった。