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美しき銀の刃

第19章 狂ったあとの静寂は


小太郎の発した言葉に、何も言えなくなった。

でも、でも小太郎。

私だけでも、笑っていけなくちゃいけなかったの。

私だけでも、みんなの支えになってあげなくちゃいけなかったの。

昔の私は、支えているどころか支えられていた。

泣き虫だった私を、いつも小太郎や銀時や晋助は、護ってくれていた。

だから、だから私は!!

「…今はそれでいい。」

しんとした空気の中を、小太郎の声が響く。

「少しずつ、戻ってくれればそれでいい。」

悲しそうな顔で私の顔を見つめる。

「それまで俺は」










「緑を……、あなたを護りたい。」














昔から、護ってくれていた。

護ってもらってるもんなんだと思っていた。

でも、今ならわかる。

みんな、私を護りたかっただけなんだ。

そっか、そっかあ…。

でも、ごめん。

ごめんね、小太郎。

私は、もうここにはいられないんだ。

私は、みんなを裏切っちゃったから。

あの人を殺したのは、銀時じゃない。

あの人を護れなかったのは、小太郎や晋助じゃない。

殺したのは私。

護らなかったのも私。

救わなかったのも私。

そう。





「……たとえ、先生の敵でも、あんたは私を護ると?」
「………え…?」

私は、あの時、先生の目の前に立った。

鍵が、あったから。

「先生を救えたのに、わざと救わなかった私を、小太郎は護ると。」

先生に今までのことを話した。

でも、救わなかった。

救えなかった。

「先生は、私が殺したんだよ?」

笛を吹いた。

逃げろと。

悪魔のささやきに飲み込まれながら、逃げろ逃げろと言った。

その結果が、あのざまだ。

私は、冷酷な顔で微笑んだ。

小太郎は、絶望した顔になっていた。

私のことが一番よくわかるなら、私が嘘をつけないことくらいわかってるはずだ。

だから、あえてこう言った。

事実を的確に。

私は静かに、台所を出た。
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