第18章 終戦、そして
口を、手で必死に抑えた。
この人は………なにを…言ってるの……?
隊士達はそのあともいろいろと話しながら奥の方へと行った。
それを確認すると、ふらふらと井戸へと着く。
(……遅かったのね…。)
気づくのが、遅かった。
きっと、あの1人が言っていたことは、まぎれもない事実だろう。
あの時、私は途中からの記憶がない。
先生が、銀時の手によって斬られたのは覚えている。
でも、そのあとの記憶が一つもない。
次に目が覚めた時、そこは私の部屋だった。
誰かが運んでくれたのだろう。
「『天人』、か……。」
天人が天人を斬りつけることなど、ほんとはありえないはずなのに。
わかってる、もう昔から、ずっとそう。
私は本当に天人なのかもしれない。
私の髪の毛や、眼の色は、地球では考えられないもの。異物。
銀時は、とてもきれいだ。
私は、血に濡れても汚い。
「……だめね、最近こんなことばっかり考えちゃう。」
私は顔を洗った。
井戸の水はやけに冷たくて、凍りそうだった。
このまま、凍ってしまえばいいのにな。
(……もう、ここにはいられない。)
戦争は、終息を迎えつつある。
各地の他の志士達も、刀を捨て始めているとのことだった。
私達も、もう潮時である。
(わかってるのよ、わかってる。)
そして、私ももう、限界がきている。
これ以上ここにいれば、私は仲間達を殺す羽目になる。
銀時や、小太郎達を傷つける。
そんなの、絶対に嫌。
顔の雫を拭き取ろうと、着物の袖を顔に持ってきたときだった。
「緑?」
後ろから、聞き覚えのある声がした。
振り向くと、そこには珍しく長髪を一つに束ねて、後ろでくくった小太郎がいた。