第18章 終戦、そして
「………緑?」
銀時の声が聞こえた瞬間、やっと我に帰った。
どうして………。
最近、おかしいとは思っていた。
誰かを見るたびに必死に殺そうと体が疼くのを、必死に止めてた。
それは、戦闘能力が長けていれば長けているほどあがっていく。
銀時は、きっとこの体にとって、ものすごく効率の良い『獲物』なんだろう。
そんなの、だめだ。
銀時を殺すなんて。
そんなの絶対に、だめだ。
私はすぐに銀時から離れると、一目散に自分の部屋を目指して走った。
後ろから自分を呼ぶ声が聞こえてきたが、そんなの気にしない。
私が、銀時を護らなきゃ。
私がみんなを護らなきゃ。
自分の部屋に入り、一気にふすまを閉める。
身体中から汗が滴り落ちていた。
「はあ、はあ、はあ………。」
何も言えず、何も感じれず、私はその場に座り込む。
そのまま、深い深い眠りについた………。
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気がつくと、もうかなり暗くなっていた。
月の光の方向から察するに、子の刻くらいだろうか。
私は無意識に外へ出る。
ただたんに顔を洗いたかった。
ふらふらと何も考えず井戸を目指していた。
すると、角を曲がる直前に、人の声がした。
聞き耳をたてると、どうやら隊士達らしい。
(そういえば、みんな元気かな。)
あれ以来、あまり人としゃべることがなくなってしまった。
よし、私も混ざろうか。
そう思いながら曲がろうとしたとき。
「あいつ、ほんとは天人なんじゃね?」
そんな声が聞こえてしまった。
「なんでだよ。」
「いや、俺見たんだよ。この間の戦いの時、あの人が俺達を殺しまくってたの。」
「ああ、たくさん被害者がでたらしいけど、それって噂だろ?」
「いやいや!俺は見たんだって!!」
「ほんとかよ。」
「ほんとだって!!俺は見たんだ!あいつが………。」
「吉田緑が、俺達を殺していたのを。」