第2章 時経てど
「さっすがみーちゃん!かっこいいアルう!!」
神楽がきゃっきゃきゃっきゃ騒いでいる。
「はいはい、てか、あんたなんでここにいんの。」
「みーちゃん探してたネ。」
神楽はどうやら私を探していたらしい。
「なんで?わざわざくることなんてないじゃない。」
「みーちゃん泣いてたでショ?ほっとけないアル。」
私はその言葉にはっとした。
泣いていたのだ。
それはもう、久しぶりに流すものだったが。
私はため息をつくと、ブランコに座った。
「みーちゃんと銀ちゃんがケンカするなんて久しぶりというか、きっと初めてのことネ。何かあったアルか?」
「別になんにもないわよ。銀時が怒った理由なんて、糖分がなかったからのことでしょうに。」
神楽は「そうかもナ」と言いながら、ブランコをこぎだした。
こうして見ていると、あの頃あんなに天人のことが嫌いだったのに、今じゃその天人と仲良く暮らしているなんてね。
そりゃあ、呪われることくらいされるか。
でも…。
「銀ちゃんもそうだけど、みーちゃんもそうネ。」
「何が?」
「私達に頼ってくれないネ。」
う~ん、まあそうなんだけど。
「十分頼ってるつもりなんだけどなあ。」
「銀ちゃんは前、『お前らがここにいるだけで、隣にいるだけで、銀さんはうれしいし、それが頼りだ』って言ってくれたヨ?だけど、みーちゃんは何にも言ってくれなかったネ。」
ああ、以前のあれか、江戸城突入したときの。
「あのときはまあ…いろいろあったしね。」
すると、神楽はブランコから飛び降りて、私のほうをむく。
「一緒に帰るヨロシ。」
「は?」
神楽は手をだした。
「銀ちゃんと仲直りするアル。あんなことでケンカするなんて大人気ないネ。みーちゃんは、あのアホじゃないデショ?」
私はすぐにその答えを言う。
「いやよ。」
神楽は「え~?」と言った。
「どうしてアルか~?」
「あいつは私がいるという大切さに気が付いてないのよ。」
神楽は怪訝な顔をする。
「たまにはあんたたち三人で過ごしてみるのもいいと思うわよ。それに、私は今、あいつの顔を見たくないんでね。」
すると神楽は、口をひらいた。
「じゃあ、今晩はどうするアルか?」
「さあね、どっかに泊まるわよ。」
神楽はまだ嫌そうな顔をしている。