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美しき銀の刃

第18章 終戦、そして


次は晋助である。

まあ、一番3人の中でコミュニケーションが大変なのは彼だ。

(どうしよう、なんか怖いんだけど)

すでに部屋の奥からは殺気が放たれている。

晋助が最大に機嫌が悪い時はこんな感じだが、今は場合が違う。

殺されかけたらどうしよう。

(……いやいやいや。晋助に限ってそんなことはないでしょ!!大丈夫大丈夫!)

私はそう心の中で気合を入れて歩いた。

晋助の部屋の前に着いた。

「晋助ー!ご飯持ってきたよー!!」

……無言である。

「………入るわよー。」

そう言って障子を開けた。

部屋はあちこち物が散乱しているあげく、壊れた物まである。

その真ん中に転がっている晋助。

私は盛大にため息をついた。

「……あのさ、晋助。何してんの?」

また無言だ。

あれ以降、完全に口を閉ざしてしまった晋助。

喋っているところを見たことがない。

まあ、そもそも部屋から出てないのだから、意味ないのだが。

「まあ、とりあえずここに置いとくから、食べてね。」

一応言ってはみるが、食べてくれた試しはない。

そう言って回れ右をした瞬間だった。

ゆらぁと私を背後からいきなり抱き寄せた。

「っ、晋す「うるせえ。」

ダメだ、この力の弱さ、完全に弱ってる。

こんなの私の力でも取れる。

「……痩せたな、てめえも食ってないのか。」

意外な言葉に戸惑った。

食べてないことはないんだけれど。

「ちょ、離してよ。」
「ムカつくんだよ。」

また少しビックリした顔をした。

「そんなヘラヘラした態度とりやがって…….。てめえには感情がねえのか。」

後ろから晋助の吐息がかかってくる。

「……いつまでもネチネチネチネチ……。あんたは別れても諦めきれない醜い女ですか?このヤロー。」

なんとなく、銀時の言葉を借りた。

「そんなふうにしたってね、先生は何も喜ばない。だから私は前を向くわ。」

そう言うと、晋助が舌打ちをして腕を離してくれた。

そしてそっぽを向き、「消えろ」と言ってきた。

私は静かに部屋を出た。
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