第18章 終戦、そして
~緑SIDE~
まず、私は小太郎のところへ持っていくことにした。
多分本でも読んでるだろうから、今持っていっても問題ないはず。
小太郎の部屋の前に来た。
「小太郎ー!ご飯できたから持ってきたわよー!」
「…………入れ。」
あれ?荒っぽいなー、もう。
私はスッと障子を開けた。
「………元気なさそうね。」
小太郎は黙ったままだった。
(ちゃっかり本は読んでいるのね。予想通り)
私は、持ってきたご飯を隣に置く。
「冷めないうちに食べて!」
そういうと、小太郎はため息をついた。
「…………今は食欲がない。悪いが下げてくれ。」
……いやいやいや。
そう言ってもうかれこれ3日は食べていない。
いい加減に食べろっていう話だ。
「ダメよ。今日こそは食べてもらうんだから!」
「……なぜお前はそこまで空元気をだす。」
一瞬ピクリとなったが、すぐに笑顔を見せる。
「なーに言ってるの!!私はこんなにも元気ですけどー??」
「先生があんなことになったあとで、よく笑顔になれるな。」
まだ笑みはとまらない。
「だってさ、辛い時こそ笑うべきでしょう?……辰馬みたいにさ。」
小太郎は少し体を動かしたが、すぐに元の体制になった。
こんな重い空気を切れるのは、他でもない辰馬だけだった。
でも、そんな辰馬も今はもういない。
「…………小太郎。」
「頼むから放っておいてくれ。」
そういうと、私に背を向けて本を読みだした。
仕方がないと思い、ご飯はそのまま置いて、部屋を出る。
「……お前まで壊れないでくれよ、緑…。」
そんな声が聞こえたような、聞こえなかったような。
とりあえず私は次の部屋に行くことにした。