第17章 終わりの合図
「一体これはどういう………。」
隊士達はみな混乱していた。
無理もない。五神は全員何も反応していない。
それどころか、動こうともしないのだ。
「と、とりあえず、みなさん怪我をされているようなので運びましょう!」
「それがいい!そうしよう!」
鬼兵隊の隊士達はまず、姉さんの縄をほどこうとした。
「緑さん、じっとしていてください。今助けますんで!」
姉さんは何も反応がなく、相変わらず俯いているだけだった。
隊士の一人が縄をほどこうとしたときだった。
俺だけだったのだろうか。
一瞬姉さんの口元が見えたのだ。
しかも、その口は、まるで何かを楽しんでいるかのように微笑んでいる。
何を感じたのか。
俺は近くにいた隊士に、「離れろ!!!」と言ってしまった。
それのせいだったのか、はたまた元からその気だったのか、姉さんは近くにいた隊士を蹴飛ばす。
いきなり蹴飛ばされた隊士は、態勢が整わぬまま転んだ。
後ろのガキ二人も、鬼兵隊の連中も、今起こった状況に唖然とした。
だが、そんなことに時間もかけていられないようで。
姉さんはすぐに腕に力を入れ、軽々と縄を引きちぎってしまった。
普通の人間じゃ、こんな太い縄を引きちぎることなんて不可能なはずなのに。
そのまま、姉さんは殺気がみるみる上昇していく。
「おい!何突っ立ってやがんでい!!逃げろ!お前ら、殺されちまうぞ!!!」
俺の言葉にはっとしたのか、何人かの隊士は怯えながら逃げていく。
だが、それを許さないかのように、姉さんは一気に突進してきた。
目は、まるで獲物を見ているかのような目
口は、楽しいことが始まると喜んでいる口
黄色い目は煇り、黄緑色の髪の毛は薄汚れている
笑みを浮かべて斬りいそぐその様はまさに
黄色い悪魔