第17章 終わりの合図
~緑SIDE~
先生。
先生。
先生。
まだまだ、教えてもらいたいことがあるのに。
まだまだ一緒に過ごしたいのに。
まだまだ、あなたになんの恩も返せていないのに。
どうして。どうして!??
それは、自分で決めてしまったからだ。
あの時、まだ私は先生を助けることができた。
鎖もついていなければ、刀も隣にあった。
そして、先生の牢の近くだった。
ならば何故助けなかった?
そんなことを頭で繰り返しているうちに、何にも見えなくなった。
ひどい頭痛がする。
目眩もする。
このまま死ねば、いいんじゃないか。
このまま、何も思わずに、委ねていれば。
先生に、会えるじゃないか。
そう思った途端、どんどん体が重くなっていった。
縄が食い込んで痛いはずなのに、そんな感情もわかなかった。
嗚呼、先生………。
私は静かに、目を閉じた。
~総悟SIDE~
呆然としていたが、すぐに観察をした。
奈落集団は消えた。
だが、桂も高杉も旦那も、動こうとしなかった。
そして、姉さんだ。
おとなしすぎると、なんとなく思った。
顔はうつむいていて、表情が全く見えない。
だが、殺気だけがずっと上昇していた。
何かヤバい気がする。
そこに、また集団がやってきた。
人間だ。格好から見るに、鬼兵隊……だろうか?
「みなさん!ご無事ですか!」
誰かが五神に話しかけた。
しかし、返事が全くない。
「おいお前ら、あれに便乗するぞ、こい。」
まだまだ放心状態の二人に話しかけた。
「あ………はい………。神楽ちゃん……行こう……。」
チャイナはうつむいたまま立った。
そのまま、鬼兵隊の中に紛れていく。