第17章 終わりの合図
「朧様。あやつらを連れてきました。」
あいつの手下なのだろうか。静かに現れたので、正直ビックリした。
「そうか。まあいいだろう。せっかくだ、その場で決めてもらおうじゃないか。」
天照院の男は少し口角をあげた。
「………なるほど、そういうことですか。」
「察しがいいな。まあ、そういうことだ。」
そういうことというのはどういうことなのだろう。
そこに、奈落集団の大群がやってきた。
そして、その中心からドサッと二人投げられる。
「っ!あれ!!」
チャイナが叫びそうになったのですぐ止めに入った。
そう、そこにいたのは他でもない、高杉と桂だった。
二人とも、縄で両手両足を縛られていて、身動きができない状態になっている。
しかも……。
「あれ……あの人達の後ろにいる人たち……一番隊の……。」
「特攻隊もいるアル……。」
奈落集団の後ろには昨日までともに戦ってきた仲間達だった。
もう、屍へと化していたが。
高杉や桂は悔しそうな顔をしている。
「……さっきの「逃げろ」という合図に反応してついて行っちまったんだろう……結果がこのザマだ……。」
ひでえな、本当に。
そこへ、奈落の男が口を開けた。
「松陽、お前の教え子達は、お前の教え通り犬死にしていったぞ。」
松陽と呼ばれた男の人は、だまったままだ。
「ならば試してみるか。お前の弟子達が、お前とともに犬死にしていく道を選ぶか。それとも、師を殺めてでも生き残る道を選ぶか。」
高杉や桂の更に後ろには、縄で吊るされているが今にも奈落集団を壊滅しそうなくらいの姉さんがいた。
姉さんを見てると、高杉や桂の間から、いつもの見慣れた男が現れた。
すると、姉さんは余計に狂い出した。