第17章 終わりの合図
「あ!!あいつ!!私、あいつのこと知ってるアル!!」
「僕もあの人のこと、わかりますよ!!!」
二人がなにやら驚いた顔で叫んでいる。
「あ?あの人って、どの人だよ。」
「もう沖田さん!あんたもあの場所にいたじゃないですか!」
は?あの場所?
「みんなで江戸城に入った時のこと覚えてないアルか?!みんなんで将ちゃんのこと、助けたネ!!」
……ああ、あのときの。
あんときは確か、見廻組もいやしたねえ…。
「そのとき、銀さんと戦ってた人の顔、覚えてませんか?!」
あんときの…?
俺は正座している男の周りにいるやつらをくまなく探してみた。
そして、こいつらが言いたいことがよくわかった。
「……ああ、あいつか…。」
灰色の髪の毛で、薄気味悪いかっこうをしていたあの男。
結局、捕まえることはかなわなかったから、よく覚えている。
確か、見廻組の女副長が言ってたのが…。
「天照院奈落…、八咫烏…、三羽鴉の一人ともされている男…。」
「は?なに言ってるアルかサド。お前、ついに頭までおかしくなったアルか?」
天照院奈落の男が、どうしてこの攘夷戦争に、しかも旦那達を捕まえなくてはいけなかったのか?
そもそも、あの男は何者だ?
さっきからやけにニコニコしてるし、しかも『死ぬ』?
どうしてだ?
「あの…、とりあえず、様子をうかがいませんか?変に深読みしても、あれですし…。」
「……そうだな。」
今は新八君の言うとおりだ。
おとなしく見ていたほうがいいのかもしれない。
俺達は、静かに様子をうかがった。
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「ところで、やはり下手人は幕府のかたなのでしょうか。」
長髪の男性が、奈落の男に聞いた。
「ふん。松陽、お前に提案がある。」
松陽と呼ばれたその人は、訝しげな顔をした。
そして、その提案が、その男の口からでようとしていたときだった。