第17章 終わりの合図
~沖田SIDE~
城の中は静かだった。
しかし、この鉄のにおいだけはびっしり残っていた。
やはり、ここで戦闘があったことだけは間違いないのだろう。
「…血の匂い。でも、なんだかあまり嫌な感じじゃないネ。」
「そうだね…。それはそれで怖いけど、このなんかじゃっかん甘ったるい感じは…?」
…甘ったるい?
俺は血の匂いの原因を探す。
すると、壁側に大量出血のあとがあった。
そして、白い布の切れ端も。
「これ…まさか…旦那の?」
「!!それアル!銀ちゃんの血の匂いアル!」
「そっか!だから嗅ぎ慣れてたんだ!いつもあの馬鹿、大ケガするから…。」
ということはやっぱり、なんかあったんだな…。
「おい、城を探索するぞ。何かあったのは間違いねえ…。」
「そうですね。」
そして、探索をしようと、階段を探していたときだった。
ピーーーーーーーーーーーー
笛の音が、一回だけ、城の頭上くらいで響いた。
そして、何十秒か置くと、また一回、笛が鳴った。
「笛の音…?どうして……あ…。」
新八君が、何かを思い出したみたいだ。
俺もだ。
「おい、確か笛の合図が決まってたよな。」
「はい、確か、三回吹いたら「勝ち」です。」
「二回吹かれたら、「負け」ネ。」
「じゃあ一回は……?」
恐ろしい考えが頭をよぎった。
答えが一斉に浮かび上がってくる。
新八君もチャイナも青ざめた顔をした。
そして一斉にこう言った。
「「「逃げろ」」」
……笛の音は、まだやまない。
逃げろ、逃げろ、逃げろと声がこだました。
俺達は何も考えずに走り出した。
そして、階段を駆け上がって駆け上がって……。
着いた先には、誰もいなかった。
城の外に、何かの列と、門前で立ち尽くす、隊士達の顔が見えただけだった。
それは、夜明けが近づいてきた寒い日のことだった…。