第2章 時経てど
銀時は立ち上がった。新八や神楽はその様子をなまつばゴックン状態で見ている。
「……てめえなあ、人がつくった料理を残すこと事態が失礼なんだよ、俺に。」
「うるさい。」
私は銀時を睨む。
「うるさいだと?……ああ、いいよ、わかったよ。お前の飯なんて金輪際作らねーからよ。」
「はあ?!自己中過ぎでしょ。」
銀時はいよいよ顔が怒り始めている。
「どっちが自己中なんだよ!人が作った飯を当たり前のように残しやがって!…あれか?女はみんな自己中のかたまりなのか?女特有の自己中?」
私は頭痛と同時に、何かがプツリと切れた気がした。
「何言ってるアルか、銀ちゃん。私は自己中じゃないネ。」
「お前女じゃなくて厭女(おんな)だろ。」
「てめ、その天パひきちぎんぞゾ。」
そんな会話も、今日は聞こえない。私はもう、何も。
「…………てー。」
「あ?」
「女と男をそうやって差別するなんて、最低!」
何か、暖かいものが頬をつたる。
「……おい。」
「お前なんか、大嫌い!」
私は『万事屋ぎんちゃん』を飛び出しただひたすら走った。
~銀時SIDE~
緑は久しぶりに泣いていた。
あの緑が。
俺はでていったあいつの背中を眺める。
「……あんたらがケンカとか、久しぶりですね。」
新八が口を開いた。
「私、みーちゃん見てくるヨ。」
神楽はでていった。
あーあ、どうしてこうなっちまったんだか。
「……銀さん、緑さんは多分…。」
「あ?」
新八が何かを言おうとしたが、自分で口を閉じている。
(………さて、どうしたものか。)
俺は、じきに雨が降りそうな、曇天を見つめていた。