第15章 悪魔のささやき
~銀時SIDE~
現在、城にむかって北に移動中。
もちろん近くにいる敵を全員ぶった切ってのことだが。
俺より二十メートル先くらいには緑がいる。
(…あいつ、また一人で突っ走っていきやがって。)
少しは自分のことも考えてほしいものだ。
いつもいつも人のことばかり。
何かあればすぐ自分の責任にして、自分ばかり汚名をかぶって。
(…まあ、人のことは言えねえか。)
よく周りに言われる。
『もっと頼ってくれ』と。
仕方がないといえば仕方がないのかもしれない。
頼っていた人を失った今じゃ、どうやって今まで人に頼っていたのか、わからなくなってしまったのだ。
それはきっと緑もおんなじだろう。
だから何も言わないのだろう。
でも、それがウルトラスーパーデラックスにむかつく。
ヅラ達も、きっとこんな思いなんだろうな~。
って、何のんきなこと思ってんだ俺は。
と、また思いながら今で109体目。まだまだ道のりは長えなあ…。
「銀時、また何か考え事でもしているのか。」
後ろから、誰かが斬られる音と同時に、無駄に低い声が聞こえた。
「ああ?なんでだよ、ヅラ。」
「ヅラじゃない、桂だ。いや、斬るテンポが速い気がしてな。」
「お前の癖だ」とヅラは続けて言った。
どうやら、独り言みたいな考え事をしているときは、すばやく斬りすぎて怖いらしい。
「何を思い浮かべているのかが知らんが、あまり別のことを考えてると殺されるぞ。俺は貴様の死体を運ぶなど、御免こうむる。」
とか、静かに言いながら静かに斬るから、おめえも十分怖えと思う。
「誰もてめえに運んでくれなんざ頼んでねえよ。捨てといてくれ。」
「笑止。そんなことは許されないぞ。」
…ていうかあれ?晋ちゃんどこ?