第15章 悪魔のささやき
「……おかしいのよ。」
「あ?何が。」
俺は緑をチラッとみる。
「なんか…なにかがおかしくて…。でも、それを止める方法がないっていうか…なんていうか…。」
何言ってるかさっぱりなんですけど~!
「それ説明になってねえだろ。」
「うーん…。説明するのが難しいのよね…。」
「なんだ。『殺人衝動に自分は駆られてます』って言いたいのか。」
そういうと、緑はビックリした顔になって俺をみつめる。
「っ!なんで当てちゃうのよ!」
「はあ?前置きがそんな感じだっただろうが。」
「それは…そうだけど……。」
そういうと緑はそばにあった草をむしりだした。
「…で?それがおかしいってことか。」
「なぜだがさっぱりわからないの。それに昔はまったくそういうことがなかった。誰かを殺したいなんて、考えたこともなかった。むしろ、『なんで人を殺さなければいけないのか』ってばっかり考えてた。」
まあ、そりゃあそうだよな。今でさえも思ってることだと思うし…。
「…いつくらいからだったか忘れてしまったけど、いつからか殺人衝動なんてものができてしまって…。今までは天人や幕府側の奴らを斬るだけでおさまってたんだけど…。」
そういいかけると、緑は口ごもった。
「…なんだ。言えないことなのか?」
「……。」
さらに緑はうつむいた。
「…大丈夫だってんの。俺達何年一緒にいると思ってんだよ、心配すんな。そんなことぐらいで嫌うわけがねえだろ。」
緑の頭を少しなでる。
「…ほんとに?」
「ああ。」
すると緑は、顔をあげた。
俺はその顔に驚く。
「…緑?」
「私ね…銀時…。」
緑の黄色い眼は、冷たい。
「今、ものすごく銀時を斬りたい。」
秋風が傷にしみた。