第15章 悪魔のささやき
~総悟SIDE~
すれ違ったときの姉さんの表情。
とてもとても悲しそうな顔。
今日の奴らの態度には、俺も少しイラっときたが、わからなくもないのだ。
今まで、姉さんと仲良く暮らしてきた。
いわば家族みたいな存在の姉さん。
それなのに、その姉さんに殺されそうになってしまった。
怖いというより、ショックと怒りがあるのだろう。
姉さんは今までこういうふうになってしまうのを隠し通していたわけだから。
「……あー、嫌になっちまうなあ……。」
草原にたたずんでいるでかい満月を見ながら、俺は寝転がった。
~銀時SIDE~
緑が仲間が眠っているところに帰ってきた。
どうやら眠れないみたいだ。
まあ、俺もだけどな。
「緑ちゃーん、まだ起きてるのー?」
なんとなく緑に話し掛ける。
緑は一瞬ビクッとしたが、それが俺だとわかると、すぐに元の態度にかわる。
「それはこっちのセリフよ。まだ起きてたのね、銀時。」
相変わらず可愛くねえ顔。
「なんだよ、眠れない理由でもあるのか?」
「べ、別に………。銀時こそ、眠れない理由でもあるわけ?」
ごまかしたぞこいつ。
「俺は………、まあ、見張りってところかな。仮眠してるし。」
「ああ、なるほど…。」
「で?そちらさんは?」
すると緑は俺の隣にドカッと座った。
「………ねえ銀時。」
「あ?」
少し悲しい顔をした緑。やっぱなんかあったんじゃん。
「たとえばの話だけど…………。殺人衝動に駆られることとか……ある?」
たとえばじゃねえだろそれ。
「んー……。俺基本的に人殺したくねえからなあ……。」
「そっか……。やっぱ銀時はそうだよね。」
そういうと緑は顔を伏せた。