第15章 悪魔のささやき
その日は、近くの森で野外睡眠をした。
隊士達は見事全員生き残れていて、みんな少し嬉しそうだった。
みんな疲れてしまったのだろう。着くとすぐに寝てしまった。
私はまったく寝れなかった。
―――――なんだったのか、今日のは
あの後、新八と神楽は私を避けていた。
どうしてかわからず、私は総悟に聞いた。
すると総悟は、
「緑さん、もうあんまり戦場にでないほうがいいと思いやすぜ。」
と言ってきたのだ。
その理由も聞いてみたのだが、答えてくれなかった。
…いや、なんとなく予想はついていた。
もうずっと前からみんなには隠していたことがあった。
そう。
殺人衝動というやつだ。
誰かを殺したい。誰かの血を見たい。
そんな衝動に駆られることが、今までにたびたびあった。
それは天人を斬ることによっておさまっていたため、特に気にしてもいなかった。
だが、最近ひどくなってきている。
たとえば先日の神楽に対してしてしまったこと。
本人は気づいていない様子だったが、してしまったのはしてしまったのだ。
―――神楽を殺そうとした―――
理由はわからない。神楽は可愛い妹みたいな子だ。
戦場には私一人しか女がいなかったのを、神楽はあの幼さでやってきてくれた。本当にうれしかった。
なのに、その神楽を殺そうとしたのは本当にショックだった。でも、誰にも言えない。
今日は新八を殺そうとしていた。
天人を斬り殺したあとだというのに。
「…そりゃあおびえられるのも当然よ…ね…。」
少し悲しかった。仕方ないと思ったがゆえに。
結局、自分を理解してくれる人など、どこにもいないのだ。
自分以外は。
「…さて、私もそろそろ寝ようかな…。」
影に誰かがいた気がしたが、それはあえて伏せておこう。
栗色の髪の毛を見たことは忘れよう。