第15章 悪魔のささやき
~沖田SIDE~
ここらへんに姉さん達がいるはずだ。
一瞬よそ見をしてしまったせいで姉さんを見逃した俺は、奴らを置いて先に近辺までやってきた。
「ちょ!沖田っさんっ!!早い!!早いっですよおおお!!」
「待つアルサドォォォォ!!!お前一人みーちゃんの元ヘは行かせないアルううう!!!」
…といっても奴らは後ろからギャーギャー言いながらついてきているみたいだが。
すると天人どもの隙間から、黄緑色に反射している頭を見つける。
「あれ、みーちゃんヨ!!!」
そういいながら天人を投げ倒し、姉さんの元へ向かう。
俺も、その先にいる天人を斬りながら姉さんのほうへ行った。
そして姉さんを見つけた。
……見つけてしまった。
血濡れになっている防具。
激しく殺気立っている目。
口は楽しそうににやけている。
その顔はまさに。
悪魔だった。
「………みー…ちゃん…。」
あまりにも不気味なその顔に、チャイナは顔面蒼白だ。
姉さんは楽しそうに天人を殺していた。
「う、嘘だ…。緑さん、いつもこんな顔で斬ってなかった……。どうして…緑さん……。」
二人は固まってしまった。
が、そうずっとかたまるわけにもいかず、俺は姉さんの戦闘に参加した。
ここさえつぶせばあとは楽勝で本丸につけるようだ。
「くくくくく……。」
斬りながらでも聞こえる姉さんの小さな嗤い声。
嗚呼、どうしてあなたはそんな人になってしまったのか。
全員の天人を斬り終わると、姉さんのほうをすぐに向く。
姉さんの顔は見えない。
近くにいた新八君が姉さんに近づいた。
そのとき。
姉さんは瞬時に新八君を斬ろうと刀を斜めに振り上げた。
「し、新八いいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
チャイナの悲痛な声と、俺は刀をもたずに走り出した。