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美しき銀の刃

第14章 出陣


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朝になった。

あのあと、誰かがくることはなかった。

神楽も普通に起きてきた。

「おはようみーちゃん。」
「あ…、お、おはよう。」

精いっぱいの笑顔だったのだが、さすがは子供。少し怪訝な顔をする。

「?みーちゃん?何かあったアルか?」
「な、なんにもないわよ?」
「そうアルか?」

「そうよ」と言って部屋をでる。

食堂にはすでに全員がそろっていた。

そして恒例のものが始まる。

「…あれ?」

私の机に置かれていたのは、お吸い物と握り飯二つ、それから魚。

「ちょ、誰か間違えた?ここ、私の席だけど…。」
「俺が置いたんだよ。」

その声の主は銀時。

「は?え、こんなにいらないんだけど。」
「ああ、すまない。分量を間違えてしまって余ったんだ。せっかくだから食べてくれないか?」

小太郎が割り込む。

「え…でも……。」
「いいじゃねえか。俺達もそれ全部は食べれないぜ、朝だしよお。」

晋助も私のほうを見つめて言う。

「……まあ…そこまで言うなら食べてあげるわよ。」
「なんだよその上から目線んん!!」

銀時にすかさず突っ込まれる。

私は笑った。

銀時も笑った。

小太郎も笑った。

晋助も笑った。

みんな笑い出した。

こんなに楽しいごはんはいつぶりなのだろう。

たまには、こんな日も悪くないわよね。

今日は本当に久しぶりにお腹いっぱいになった。

心も、体も。



「誰かああああああ!!誰かあああああ!!!」

うるさい足音とともに、食堂のほうへ向かってくる叫び声。

食べ終わった食堂で、今から話し合いをするところだったのに。

足軽兵が入ってきた。

「む。どうした。」

小太郎が聞く。

「も、申し上げます!!天人の大群がここへ押し寄せてきます!!!」
「な、なんだと!!!」

私は目を白黒させた。

まさか。もうこんなに早くこの拠点がばれてしまうなんて。

「そんな…。」
「固まっている場合じゃねーぞ緑。」

銀時が私の肩に手を置く。

「出陣だ、コノヤロー。」
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