第13章 時はやってくる
~緑SIDE~
夜になった。
あたりはとても静かだ。
少し肌寒くなったこの季節、私達は次の目的地へ向かっていた。
どうやらそこは廃寺らしい。
そこに身を隠し、戦の用意ができたら攻め込む。なんとも好ましいアイデアだ。
着くと早速それぞれの部屋へ行く。
私も自分の部屋となる場所へ荷物を置きに行った。
「…で?」
私は部屋を見渡す。
少し狭い。四畳くらいの部屋だ。
そこに神楽がいた。
「あ、みーちゃん!」
「…どうして神楽がいるの?」
隊長格は必ず部屋は別々のはずだ。それがどうして。
「なんか部屋が足りないって言われたアル。それで、どうせなら女同士一緒に寝ろって言ってきたネ。片…晋ちゃん達も他の奴らと一緒アル。」
…そうか。そういえばここ、意外と狭いものね。
「わかったわ、そういうことなら仕方ないわね。」
「きゃほー!!みーちゃんと一緒に寝れるアル~!!」
神楽は大喜びだ。
「じゃあ今日はもう布団を敷いて寝ちゃいましょうか。明日から早速稽古するからね。」
「おうヨ!!」
ニコニコしながら布団を敷く神楽だった。
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どれくらいの時間がたったのだろうか。
障子からは少しの光が隙間からでている。
私はそんな光で目を覚ました。
外をでてみると、ひんやりとしている。
…あまり寝た感じがしない。
また夢を見た。また、あの人がでてきた。
また失った。また、血だらけだった。
手を伸ばして届いたはずなのに。
確かに、この手で触れたはずなのに。
最後にみたあの人の顔はとても儚げで憂いを帯びていて。
……絶対助けなくては。
助けてあの人に、先生にこう言うんだ。
「 」
神楽がもぞっと体を動かしたのに、私は気づかなかった。