第12章 星空の下で
三日くらい経っただろうか。
坂本さんがついにここを発つときがきた。
全員門で見送りをしている。
もちろん俺達もいた。
「みんなしてそんなこやんでもええが!」
坂本さんは微笑を浮かべている。
「何を言っているんだ。友の門出は祝わねば、侍としての名がすたるだろう!」
桂達ももちろんいるわけで。
「小太郎の言う通りよ。辰馬には出世してもらわないといけないんだから。地球のためにも。」
緑さんはにこにこしている。
「…まああれだ、お前が宇宙で馬鹿やらねえように、喝くれえいれねえとな。」
「なんいっとるがか、低杉!わしはそんなに馬鹿じゃないわ!」
「ああ?誰が低杉だ。たたっ斬るぞ。」
なんだかんだで高杉も見送りをしている。
「…あれ?ねえ、銀時しらない?」
緑さんが周囲に尋ねる。
「白夜叉様ですか?知りませんよ。」
「小太郎は?」
「ああ?ああ…まあ、いろいろとな。」
「?」
すると、坂本さんが口を開いた。
「まあ、一人くらいおらんほうがちょうどええっちゅうもんじゃ!」
「……そうかしら…。」
緑さんはそのあと黙った。
坂本さんは荷物を持って、門をくぐろうとする。
そして振り返って手を振った。
「みな元気でなあ~!死んだらいかんぜよ!!」
「お前こそ、宇宙でのたれ死んだら許さんぞ~!」
「宇宙からのおみやげと現状報告、それからたまには帰ってきなよ~!」
「…達者でやれ!」
みんな口々に別れの言葉を言った。
坂本さんは前を向くと今度こそ振り返らずに歩いた。
~坂本SIDE~
少し進んでいくと、銀色が見えた。
わしは迷わずに声をかけた。
「お~い!金時い!」
「誰が金時だコノヤロー。」
わしを鋭くにらむ。
「…結局一緒にはこんのか。」
「…まあな。」
そして、少しすがすがしいような顔でこの男はこう言った。
「俺は、この地球が好きだからな。」
少し談笑したあと、また歩き出した。
また、いつか笑いながらみんなで集まれるその日まで、この歩みをとめることはないだろう。
そう、心で誓いながら。