第12章 星空の下で
私が固まっていると、辰馬から声をだした。
「あ、あはは!緑はんが固まっちょる!」
その言葉でようやく私は声を発することができた。
「だ、だってそんな急で…。び、ビックリするじゃない!」
「そりゃそうじゃ。」
少しおもしろがっているような気もする。
「緑はん。」
「ん?」
今日何回もそうやって呼ばれた気がする。
「別に、一緒に宇宙にきてくれとは言わん。今大将格が二人も、それも一番戦を支えてる緑はんが抜けたら、それこそ大事じゃき。」
辰馬はニカッと笑った。
「それにわしはまだ緑はんを幸せにできるほどのお金も権力もなか。じゃけん、この話は先の、未来の話じゃ。」
私も少しだけ笑ってみせる。
「もし、将来緑はんがまだ一人で、大切なものもなくて、さらに欲をいえばわしを待っててくれとったら…の話じゃ。」
どこまでそんな話を考えていたのだろう。
「わしはすぐにここを発つ。じゃけん、一応そんな話もしときたかったんじゃ。」
私はくすっと笑った。
「そうね。もし、私が一人で、そばに誰もいなくて、地球に未練がなかったら、私は辰馬と一緒に暮らそうかな。」
「そうじゃ!そういうことじゃ!」
二人で笑いあった。
辰馬は宇宙で商いをするという。
地球のために天人と仲良くできる方法を探すのだとか。
「もしかしたら、金時も一緒に行くかもしれん。」
「え、銀時も。」
まだ話はしていないようだが、銀時も一緒に来てほしいんだとか。
「まあ、あいつはいごっそうじゃけえ、くるかわからんけんど。」
「まあ、いごっそうだものねえ~。」
いごっそう…ね…。
辰馬がここにきて間もないころ、辰馬の土佐弁には本当に苦労した。
銀時にいっつも「いごっそう!」って言ってたのを思い出す。
あとでいごっそうとはなんなのか他の仲間に聞いたところ、「頑固者」という意味らしい。
それですっかり銀時は笑いものにされたものだ。